上位作品

第27回展の上位作品

内閣総理大臣賞

ちいさな後継者

中島 裕規 さん(熊本県)

撮影情報
撮影地
福岡県 久留米市
カメラ
SONY α7 IV ILCE-7M4
レンズ
シグマ 24-70mm 42.10mm
絞り
3.2
シャッター速度
1/30
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
1250
ご受賞者の声

この度は、内閣総理大臣賞という名誉ある賞を頂き、誠にありがとうございます。私は、カメラをはじめて5年が経ちますが、自分の写真がどれぐらいの評価が得られるか知りたくて、3年前から国内最大級の総合写真展に応募させて頂いてます。去年は優秀賞を頂き、今年こそは上位入選を目標とし、1年間は「上達と上位入賞のための表現ポイント」を何度も読み返し、何が必要で重要かを考え、様々な撮影現場を訪れ一心不乱にシャッターを切りました。そんな中、福岡県久留米市の日本三大火祭り「鬼夜」を紹介され、迫力あるお祭りの凄さに圧倒されました。そこには、子どもさんの感情豊かな可愛さというより、「必ずお父さんの後継者になる!」という意思が表情に表れていました。自分でも想像以上のストーリーが出来上がり、自信を持って出展しました。私は写真を通じて、日本の伝統ある文化や自然の持つ力強さを今まで以上に沢山の方々に知ってもらい、感動や喜びを与えれるよう写真を撮り続けます。身に余る賞を頂き、本当にありがとうございました。

▼審査員講評板見 浩史氏

勇壮な裸祭りの装束(しょうぞく)、夜空に漂う焚火の煙、賑やかな祭礼の臨場感…。そのただ中にあって、親子の周囲だけ穏やかで安らいだ雰囲気が支配しています。祭り本来の目的である無病息災の祈りが、コロナ明けによって天に通じたという安堵感。提灯(ちょうちん)の柔らかな拡散光に包まれた父親の微笑みと男の子の無垢(むく)な表情から〝こうして再び伝承の中に身を置き、子に次の世を託せる仕合せ〟という気持ちが伝わってきます。混沌とした現場でこの情景を的確に切り取った作者の眼に感心します。祭り写真でありながら、父子の情愛を見事に描き出した見事なポートレート。抑制的に使われた画像レタッチが肖像写真のような印象を与えていることも効果的であったと思います。

衆議院議長賞

あたたかな時間

小池 菜々美 さん(熊本県)

撮影情報
撮影地
熊本県 阿蘇郡
カメラ
SONY ILCE-7M4
レンズ
FE 24-105mm F4 G OSS
絞り
9
シャッター速度
1/250
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
2000
ご受賞者の声

この度は、輝かしい賞をいただきありがとうございます。総合写真展出展の機会を得て、多くの人にこの写真を通して大好きな祖父母の笑顔が皆さまに届くことを非常に嬉しく思います。この作品は、祖父母と共に杖立(つえたて)温泉の足湯を訪れた際に撮ったものです。足湯の温かさと何気ない会話のおかげで、自然に幸せなひと時を写すことができました。祖父母も今回の受賞をとても喜んでくれました。ところで、写真を始めたことで、自分を取り巻く世界に、今まで以上に彩りを感じられるようになりました。そうしたことから、周りの人にも日常の楽しさや、身近にあるものの魅力に気づいてもらえるような写真を撮っていきたいと考えています。末筆ながら、審査員の皆様やのびのびと写真を撮らせてくれた周りの方々、そして大好きな祖父母に感謝を申し上げます。

▼審査員講評板見 浩史氏

屈託(くったく)のない表情で談笑し合うお二人は作者のご家族でしょうか。それだけ親しい間柄でなければ撮れないような距離感です。ご婦人も往年の女優さんを思わせる上品さで、赤い服も画面の中で良いポイントとなって目を()きます。美しい逆光にゆっくり立ち昇る湯気が屋外の空気感とその動きも表現していて、とても効果的に捉えられています。楽しさのピークを写し止めたシャッタータイミングも、過不足のないフレーミングも、カメラの位置もすべて適切で、全体と細部に気配りしながら画面をまとめた作者のセンスと撮影技量の高さが印象に残る作品です。

参議院議長賞

さひかぶい(久し振り)

有馬 純朗 さん(鹿児島県)

撮影情報
撮影地
鹿児島県 鹿児島市 照国神社
カメラ
Nikon Z7II
レンズ
Nikon 70-200mm f/2.8E FL ED VR 1.4倍テレコン
絞り
13
シャッター速度
3.0
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
200
ご受賞者の声

第23回から参加し優秀賞、第24回のヒメボタルの作品で準大賞を受賞。そして第25回を挟んで第26回で審査員奨励賞をいただき、ついに今回の参議院議長賞の受賞となり支えてくれた家族や友人とともに大変喜んでいます。思えばサラリーマン時代に風景写真中心に写真を始め、5年前の早期退職を機に約40年ぶりに帰ってきた故郷鹿児島で、本格的に機材を充実させ3年前にプロを名乗って活動をしています。今回の写真は鹿児島の夏の風物詩「六月灯(地元ではロッガッドーと言います)」。県内最大規模の鹿児島市の照国神社の2022年7月に開催された六月灯です。コロナ禍の影響で3年ぶりのフル開催となり、待ちに待った大勢の人々が詰めかけました。定番構図ですが神社を見下ろす城山から俯瞰(ふかん)で撮影、スローシャッターで集まった人々の喜びと熱気を表現してみました。待ちに待ったのはカメラマンたちも同様で、写真仲間と一緒に愉快な撮影となりました。

▼審査員講評板見 浩史氏

タイトルの「さひかぶい」は鹿児島の方言で「ひさしぶり」の意(さしかぶい、さっかぶい、とも)。薩摩の英主と(うた)われた島津貴久公の命日(旧暦六月)に照国神社で催される祭事「六月燈」での撮影。超望遠レンズを用いて絞りF13、3秒のスローシャッターで捉えた壮大で特異な宵祭りの描写が圧巻です。写真はその内容に合わせてプリントサイズを決めるべき、という有名写真家の言葉がありますが、この作品も超特大のサイズで発表する機会が得られればさらに高い価値が生まれることでしょう。宵闇にうごめく無数の群衆から数えきれない「さひかぶい!」がざわざわと聞こえてくるような迫力があります。

文部科学大臣賞

「3.2.1 ありがとう!」

荻堂 達也 さん(奈良県)

撮影情報
撮影地
兵庫県 加東市 兵庫県立播磨中央公園
カメラ
CANON EOS 6D
レンズ
CANON 200m LENS EF24-70mm F4 L IS USM
絞り
5.6
シャッター速度
1/200
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
情報無し
ご受賞者の声

この作品は僕が20歳の成人になる年に撮影をしました。高校生の頃、学校に行くことが辛く感じる日々があり、家族に対しても思わず当たってしまうことが多かったです。しかし、写真を通じて新たな道を歩み始めることで、家族との距離感が変わりました。カメラを通すことで、言葉にできなかった感情を伝えられるようになったからです。それからは、家族が私のそばにいてくれることを実感していきました。そして、姉の成人式の日に、家族写真を撮ろうと提案しました。事前に場所の下見や準備を進め、当日は家族全員で力を合わせて撮影。完成した写真を家族のみんなに見せた際、みんなから「写真を始めてくれてありがとう」と言ってもらえたことは、何よりも嬉しかったです。自分自身も成人を迎える時、最高の一枚を撮るために何度も家族会議を開きました。撮影当日も早朝から父は運転、母は着付け、兄姉はアイデア出しと荷物持ちをしてくれて、本当に幸せでした。その甲斐もあり、今までの全てを詰め込んだ最高の一枚に仕上がりました。お父さん、お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、本当にありがとう。

▼審査員講評板見 浩史氏

底抜けに明るく、芸達者でノリの良いご家族。ひときわ嬉しそうな中央の青年が成人を迎えたお祝いなのでしょうか。季節は秋なので、もしかすると今流行の前撮りかもしれませんね。それはともかく画面から爆発するような歓びが溢れてきて、見る者を共感させる力を持っています。特に前列左右のお母さん、お父さんの歓喜のポーズと表情が真に迫り、ある種の感動さえ呼び起こすほど。舞い上がった枯れ葉の高さも申し分なく、それを的確に捉えた作者のシャッターチャンスも絶妙です。素晴らしい一家と撮影者の息がぴったりと合った最高のファミリースナップと言えます。

東京都知事賞

夢中で遊ぶ

神尾 真悟 さん(愛媛県)

撮影情報
撮影地
大阪府 大阪市
カメラ
Nikon D850
レンズ
Nikon AF-S NIKKOR 24-70mm・24mm
絞り
4
シャッター速度
1/350
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
200
ご受賞者の声

この度は初参加にもかかわらず、『東京都知事賞』と2点の『入選』を頂きありがとうございます。この写真「夢中で遊ぶ」は7歳と5歳の子供が大阪城公園で遊び疲れて遊具の上でそのまま眠ってしまった所を撮影したものです。撮影時に気を付けたことは、二人共が公平に主役なので偏りのない構成に持っていく点です。具体的には、中央を軸に線対称に撮る、2人の目にピントが合うようにカメラと並行の同一面上に撮る、友達感を出す為に同じ位の面積になるように撮る、の3点を意識しました。子供達の自然な表情を撮るには撮影チャンスを逃さない事が第一であると考え、レンズ交換はせずにズームレンズを使用し、多少トリミングするつもりで周囲を入れて広めに撮影しました。いつ起きるかわからない子供達。表情や姿勢が変わらないうちに急いで撮影していく必要があったのです。

▼審査員講評板見 浩史氏

童心をみずみずしく思い出させる優しさに満ちた作品。タイトルには二重の意味が込められていて、ほんの少し前まで子供たちがトランポリンの上で過ごした情景が眼に浮かびます。二人で一緒に飛び跳ねて「遊ぶ」、その感覚が足裏にまだ残っているのでしょう。すっかり遊び疲れて眠ってしまったけれど、まだ足りなくて「夢の中」でも遊び続ける…。そんな小さなストーリーを、子供たちの気持に寄り添いながら一枚のフォト・ポエムに仕上げていて好感を持ちました。子供の世界をこのようなシリーズで(つむ)いでいったら楽しいだろうな、と思わせてくれた作品です。

東京都議会議長賞

宙泳

平井 ヨシフミ さん(兵庫県)

撮影情報
撮影地
香川県 四国水族館
カメラ
Apple iPad Pro広角カメラ29mm F2.2
レンズ
Apple 29mm F2.2
絞り
2.2
シャッター速度
1/452
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
25
ご受賞者の声

この度は「東京都議会議長賞」に選出していただき、心より御礼申し上げます。この作品の撮影情報を見て、驚かれる方も多いかと思いますが、使ったのはiPad内臓のカメラです。実はこのとき、直前までデジタル一眼を使って撮影していたのですが、狙っていた絵にはならず、そうこうしているうちにイベントも終盤に差し掛かりました。『今日の記録としてiPadでも1枚だけ撮っておくか・・・』と、カメラから持ち替えたところ、それまで2頭の同時ジャンプしか披露してくれなかったイルカたちが、なぜかこのときだけ3頭で同時ジャンプを披露したのです。唖然としながらiPadのシャッターを切った後、慌ててデジタル一眼に持ち替えるも、3頭による同時ジャンプは、この日、この一回だけでした。そして皮肉にも、この日撮影した中で、iPadで撮影した写真が一番綺麗に撮れていたのです。帰宅後、本来の狙いと違う為、とある写真ソフトにこの写真を読み込ませてみたところ、3頭が空を飛んでいる姿が強調され、全く印象の違う写真が出来上がりました。タイトルの「宙泳」は勿論造語ですが、「空」より「宙」の方が、より高く飛んでいるように感じたので、「宙」の字を選びました。過去の上位作品の中で、スマホで撮影した作品がありましたが、加工したとは言え、iPadで撮影した作品が上位に入ったのは、自分の知る限り初めてかと思います。携帯端末のカメラ機能が日々進歩する昨今、今回の受賞で『良作、機材選ばずだなぁ』と、改めて思いました。最後に、いつも文句一つ言わずに送り出してくれる家人と、休みを調整してくれた当時の仕事先のスタッフに心から感謝申し上げます。

▼審査員講評徳光ゆかり氏

まるで絵筆を自在に操って創り上げているような印象に残る作品ですね。レンズの特性を十分活かした作品ですが、ただ単に変わっている、面白いに(かたよ)らないで背景の美しさの上にイルカのジャンプを加えたクリエイティブな作品です。空の様子を見ると、撮影した時間帯も味方してくれた一瞬が撮れています。こういった場面では、たくさんのシャッターを切って撮影し、その中から一枚を選ぶ、この「選ぶ」までが撮影なのです。

大賞

いつも一緒

武 治紀 さん(大阪府)

撮影情報
撮影地
大阪府 茨木市
カメラ
Nikon D800E
レンズ
VR 200-400mm f/4G 260mm
絞り
1/5.6
シャッター速度
1/100
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
400
ご受賞者の声

この度は名誉ある賞を頂き心より御礼申し上げます。リハビリにと遊歩道散策を始めたのがきっかけでカメラを手にするようになりました。風景から人物そして野鳥撮影へとどんどん夢は膨らんでいきます。雨予報が出れば水滴が綺麗、翌日は濁った色が珍しい。気温が2度を下れば最高のシャッターチャンスとカワセミだけを追い続け『待てど待てども今日も鳴き声すら聞けずと空振り』そんな積み重ねであっという間に10年余り…縄張りを持つカワセミが…?タイトル【いつも一緒】冬も雌をかばう雄の深い愛情に感激しました。この前後のシーンはまさに「じゃじゃ馬娘を静かに優しく見守る彼氏」(くちばし)を凍て付かせ雌を待ち、雌が来ると魚を求め飛び込み、それを見て雌が飛び込む。雌が魚をゲットするまで待ち続ける雄。見ている私自身も幸せに満ちてきます。大きな安らぎを下さる野鳥たちと家族に感謝の日々です。

▼審査員講評徳光ゆかり氏

なんと!美しいシーンですね色彩としても場面としても、なにより”コミュニケーション”として、愛があふれていますね。カワセミの色合いや赤い実、枝に積もった雪など、舞台設定は満点。作品全体に降りしきる雪に対してのシャッタースピードも適切です。佳い作品というのは、こうした自然の美しさからの贈り物ですね。まるで台本通りに創り上げたような出会いを、撮り手のこころが捉える、写真ってホントに素晴らしい自然芸術だと言えます。私たちも、自然の一部ですものね。

大賞

みんなHappy Yellow!

今田 秀徳 さん(愛知県)

撮影情報
撮影地
岐阜県 大垣市
カメラ
SONY α7R IV
レンズ
SONY 70-200mm F2.8 GM
絞り
8
シャッター速度
1/1600
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
400
ご受賞者の声

この度は素晴らしい賞を頂き、心より感謝申し上げます。通知の案内を開封して言葉では表現しきれない喜びと感慨がこみ上げております。コロナ禍、人々が集うことが憚られ、この向日葵畑も例外ではなく、種まきが中止され久しぶりに作付けが再開された昨年夏の写真です。黄色一色の向日葵(ひまわり)畑で老若男女が一堂に会し、出会うと幸せになるといわれるドクターイエローを迎える後ろ姿が、コロナを乗り越えた象徴のように見えました。実は撮影時、所用で出遅れてしまい、ドクターイエローの通過時間までに、向日葵畑の中にたどり着くことが出来ず、やむを得ず堤防道路の上から慌てて撮影したものです。その状況は予期せぬものでしたが、結果的にその選択が幸運をもたらしたといえます。中学1年生の時にカメラを手にし、写真の魅力に夢中になりました。初めての撮影は地元のローカル電車だったことが昨日のように思い出されます。それからの半世紀を過ぎ、今回も鉄道写真で入賞できたことは何かの縁を感じます。これまで総合写真展では4回の準大賞を頂いておりますが、今回は更に上位の大賞を受賞しましたことは私の写真活動にとって大きな励みとなり、糧となりました。これからも写真を通じて人々と心を通わせ、感動的瞬間、美しい瞬間、を共有していければ幸いです。

▼審査員講評徳光ゆかり氏

ドクターイエロー!旅先で出会えたら”倖せ”になれるという通説もありますが、この作品もハッピー!見ているだけでワクワクします。順光の下でみんなの気持ちがひとつになるシーンを素直に撮って成功しています。並んでカメラを構えている人たちの列が右へ左へとジグザグのラインとなっている所へ、強烈な一本線となってドクターイエローが右から入ってくる。先頭車両の位置も濃い緑の部分に達した瞬間のシャッター、平面的になりそうな順光の画面に立体感を感じさせるジグザグと共に、実に秀逸(しゅういつ)な位置でのシャッターです。

準大賞

落葉の道を渡る人

岸野 景佐夫 さん(埼玉県)

撮影情報
撮影地
埼玉県 上尾市
カメラ
CANON EOS 7D
レンズ
CANON EF-S18-200・200mm
絞り
5.6
シャッター速度
1/160
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
500
ご受賞者の声

結果通知を、怖くもあり期待もある中で開封し、準大賞の受賞を確認して、安心とともに、大きな喜びとなりました。今後は年相応の行動の中で、楽しみのひとつとして、写真撮影を継続し、次回の総合写真展に出展できるよう心がけていきたいと思っております。

▼審査員講評徳光ゆかり氏

道路標識の反射ミラーでしょうか。不思議な情景ですね。人物の(ゆが)み方も妖し気で、見入ってしまいますね。そこここに散り撒かれた黄色い落ち葉が30という黄色の文字まで組み込んで全体を一つにまとめていますね。実像ではないのに、素直に一つの世界として印象に残ります。カメラを持って歩きながら、あっ!と思ってこころの針が振れて、レンズを向けた気持ちが真っ直ぐ作品になっています。こういった瞬間のために私たちは、こころ優先で撮り続けていきたいですね。

準大賞

心からあなたへ感謝

水野 英樹 さん(千葉県)

撮影情報
撮影地
青森県 十和田湖
カメラ
Nikon Z9
レンズ
Nikon AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II
絞り
2.8
シャッター速度
1/2500
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
1000
ご受賞者の声

2021年の第25回では、準大賞を頂き表彰式参加を予定したが、急遽仕事の都合で出来なく残念でした。ですので、もう一度大きな賞を授かり出席する思いで諦めず昨年も今年も応募しました。2023年10月初旬に、今か今かと待ち望んだ封筒を恐る恐る開けると、応募した2作品がダブルの準大賞と云う信じられない知らせに驚きました。第24回から第27回迄に6作を出品し、準大賞が3作、優秀賞が2作と、全国から実力ある数多くの写真愛好家が集う本会で、この様な御高配賜りました事に主催者さまへは大変感謝致します。応募にあたっては、其れなりの高評価を授かる自信有りました。初めて出品した第24回は2作品が優秀賞で、より高みを目指した第25回は見事に準大賞、第26回は其れなりに考えたが、私の意図とは反対に真逆の評価を受けたので東京都美術館の全展示品を眺めて猛反省し、今年はそれを(かえり)みて応募しました。作品は、青森県で桜開花の時期に、着物姿の女性と日本血統種馬のみで行われる世界で唯一の流鏑馬(やぶさめ)大会です。3日間で25,000枚程撮影した中から、私は人と馬の物語で一番感動したカットを選びしました。その届いた結果を懇意(こんい)である大会主催者の人へ、直接報告をすると大変喜んで頂き幸せでした。今日のデジカメは、高性能なので何方(どなた)でも良い写真が撮れます。ですが、私は何万枚と撮影した中から最も感動したカットを選び、それを見た人に感動を起すに値する物か、更にその一枚が私の分身・私の写真に対する考えだと、世界の何方へも自信を持って訴える姿勢が、フォトグラファーに最も重要な事と常々思います。

▼審査員講評徳光ゆかり氏

秋晴れの光にあふれた佳き日、流鏑馬の矢を放った直後でしょうか。左手でしっかりと弓を持ちながら、右手で愛馬を優しくいたわる瞬間が伝わってきます。作品全体が明るい表現だったことが、歓びをより強くして、背景から感じられるイチョウ並木に沿った長い馬場と居並ぶ人々の歓声まで聴こえるようです。この場面の雰囲気を伝えるのに十分な射手の衣装の晴れやかさもほのぼのします。人物を速いシャッタースピード撮ると、しばしば(まぶた)を閉じていることもありますが、この作品はホットした表情として見られます。

準大賞

台風一過の湘南海岸

永井 健藏 さん(神奈川県)

撮影情報
撮影地
神奈川県 藤沢市
カメラ
Canon EOS 5D Mark IV
レンズ
Canon EF 24-105mm f/4L IS
絞り
22
シャッター速度
1/320
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
100
ご受賞者の声

今回は、応募2度目で準大賞を頂戴し有難うございました。通知書を開封して思ったのは、ただただ嬉しいということです。当写真は、鎌倉稲村ヶ崎七里ヶ浜での撮影です。当日は、台風が関東地方を通過した直後でした。台風が通過すると強い風と大量の雨により空気中の(ちり)が吹き飛ばされ、空気が澄みます。これは、間違いなく”江ノ島”&”富士山”が見えるな!!と直感しました。さらに、台風の残した熱気も加わり”綺麗な夕日”にもなるな!!と・・・即座に愛車スーパーカブ110に愛機を積み込み”いざ鎌倉”へ、横浜の自宅を出発。到着すると願っていた通りに”富士山”は綺麗に見え、(まばゆ)いばかりの太陽も顔を出していました。段々と太陽が沈んでいくと予想通りの”綺麗な夕日”が台風直後の大きな波と砂浜に映えていました。そこにお母さんとお子様二人が楽しそうに歩いて来られました。これは!!と、思わず”シャッター”を押した次第です。日頃から”温かな雰囲気”のある写真を撮りたいと願い続けており、その願いが叶った写真が撮れたかと思います。今後もさらなる高みを目指して、精進していくつもりです。

▼審査員講評丸林 正則氏

この作品の大きな魅力は同一画面の中に対照的なふたつの世界が写されている点にあります。海を写す場合の構図はヨコ位置に構えて広がり感を強調させるのが一般的だと思われますが、ここではタテ位置で奥行き感を出しています。もちろんこれには理由があります。タテ長でなくては画面の中にふたつの世界を写し込めなかったからなのです。海に流れ込む川のコンクリート製の堤あたりから二分割し上三分の二には荒れた海のドラマチックな風景を、下部には詩情豊かで穏やかな親子連れのシルエットが捉えられていて、この相反する場面が心地よく融合しているから不思議なのです。

準大賞

まだまだ赤ちゃんでしゅ!

横江 光代 さん(愛知県)

撮影情報
撮影地
愛知県 名古屋市 東山動植物園
カメラ
CANON EOS R5
レンズ
CANON RF24-240mm
絞り
11
シャッター速度
1/160
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
320
ご受賞者の声

この度は、準大賞に選出していただきまして、誠にありがとうございました。フォトマスター検定1級を取得した後、総合写真展に応募させていただくようになり、かれこれ10年ほどになります。これまで優秀賞(2回)等の賞を受賞させていただきました。今回の準大賞は私のなかで最高位になります。「まだまだ赤ちゃんでしゅ!」と題したこの作品は、昨年6月に名古屋市の東山動植物園で誕生したアジアゾウの赤ちゃん「うらら」ちゃんと、おかあさんの「アヌラ」の表情を、育ち盛りの1年後に撮影したものです。アジアゾウの赤ちゃんは、3年ぐらい母乳を飲み、その間は、赤ちゃんだそうです。うららちゃんの成長を見守ってきた中で、体が大きくなっても、おかあさんの母乳を飲み、うららちゃんも、おかあさんも、「まだまだ赤ちゃんでしゅ!」といっているかのような表情を捉えたいものだと思っていました。何とか、母と子の表情を撮影することができたのではないかと思います。この賞を励みに、これからも精進し、内閣総理大臣賞をめざして、写真ライフを楽しんでいきたいと思います。全国の写真愛好家に夢の舞台を提供される総合写真展の、益々のご発展を御祈念申し上げます。

▼審査員講評丸林 正則氏

東山動植物園のアジア象の親子です。この作品が優れているのは、まずフレーミングの上手さにあります。画面内に象を納めることが不可能なほど巨大であることを強調するために、必要な部分だけの大胆なカットをしています。これで子象の甘えた表情と鼻の動きだけに見る者の視線が集まるようにしています。次には光の選択の正確さを挙げることが出来ます。象の真上から射す光が母親象の皮膚の細かな(しわ)を、立体感をもって浮かび上がらせています。じつにリアルで、手で触れてみたい気にさせられる程です。更にモノクロ―ムの色調も象の体色を表すのに適していると思います。

準大賞

明日へのだいいっぽ

田中 詩浬 さん(大阪府)

撮影情報
撮影地
大阪府 大阪市 大阪駅
カメラ
CANON EOS M100
レンズ
CANON EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM
絞り
8.0
シャッター速度
1/320
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
400
ご受賞者の声

この度は「準大賞」という賞をいただき、ありがとうございます。この作品を撮影したのは6月だったため、天候に左右される撮影でした。モデルさんを入れたため、チャンスは1回きりでした。この日だけは晴れてほしいと、天気予報を見て願っていました。そしてこの日は私の願いどおり、きれいに晴れてくれました。未来への道を表す光のすじがはっきりと出てくれて、嬉しかったです。光のすじに人が入らないタイミングをねらって、撮影しました。これからもこの作品のように、「街と人」をテーマにした物語のある写真を撮っていきたいです。

▼審査員講評丸林 正則氏

大阪駅ホーム真上の「時空の広場」で撮られたものですが、この作品は単に観光名所を写したものとはせず。ここを舞台に映画のワンシーンを思わせるように仕上げるのを目指したのではと思われます。まずタテ位置に構えてここのシンボルでもある金の時計を大きく捉え銀の時計を後方に配することで奥行き感を出しています。そして画面の両側に居る人達の姿を影に隠し目立たなくしています。そして光の射している所へ赤いキャスター付きバックを引いた主役の登場です。このように細部にまで計算し尽くして名場面の撮影に成功したのです。場所は「大阪駅」ここから明日への第一歩が始まります。

準大賞

感動のFinale「親友対決の決勝戦」

水野 英樹 さん(千葉県)

撮影情報
撮影地
東京都 渋谷区
カメラ
Nikon Z9
レンズ
Nikon AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
絞り
2.8
シャッター速度
1/4000
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
2500
ご受賞者の声

本年度は、応募した2作品が共に準大賞と云うダブル受賞と、朝日新聞社メディアビジネス局長賞の栄誉を授かりました事、この場をお借りし御礼申し上げます。作品は、フェンシング決勝戦終了直後に、お互いが歩み寄り、左の勝利選手と右の敗れて涙を浮かべる選手とが抱擁し合うと云う、この日私が一番感動したシーンです。当初は、最後の一撃が決まった瞬間に、左の選手が嬉しさのあまり高くジャンプし宙を舞い、敗れた右の選手は突然全身の力と気力が抜けて姿勢を崩し、額を床にして両手で後頭を抱え込んだカットを選びました。はじめはこれが、勝者と敗者の運命の対比を象徴的に表す良作と考えました。ですが、その直後に二人が筋書も無いのに突如として歩みより、歓喜の勝利選手は我の嬉しさよりも、口惜しさと無念の思いで涙が止まらない敗れた相手の気持ちを察し、全力で闘いながらも一瞬で明暗を味わった敗者は相手の実力を認めて、お互いを称え合うという人と人の心の暖かさを見せられて、これが何よりも素晴らしく、この捨てがたい場面を広く世に伝え、多くの人にこの感動を味わって頂きたく選びました。実際に作品を御覧になられた皆様は、ライトで照らされた二人の背景の黒闇は、撮影後のレタッチによるものと思われるかも知れませんが、実際にこの様な黒バックを背にして観衆の目前で試合は行われました。この作品は、セッティングや人の手による演出等は全く一切無く、全て『偶然が作り出した心の物語』です。

▼審査員講評丸林 正則氏

フェンシングの決勝戦で勝敗が決まった瞬間の感動的なシーンを捉えた作品ですが、ここではタイトルが重要な役目を果たしているのです。それによると親友同士が決勝戦に臨んで勝敗が決まり、お互いの健闘を称え合った瞬間を捉えたものだったのです。親友同士と聞いただけでひとつのドラマを感じさせます。タイトルにはそれほどの大きな力があると言う見本と言えるでしょう。このシーンをより印象深く感じさせているのは、一人の選手は顔だけは見えているので心の動きを感じ取ることは出来るのですが、顔の見えない選手の心中は作品を見る者の想像に任せることになることになるからなのです。

準大賞

「心・技・体」

鈴木 明久 さん(東京都)

撮影情報
撮影地
東京都 町田市
カメラ
CANON EOS-1DX
レンズ
Canon EF100mm L Macro
絞り
3.5
シャッター速度
1/1600
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
200
ご受賞者の声

モデルが抜群にイイに尽きます。タイトルの「心・技・体」にふさわしい子です。公園の広々とした芝生の一角で彼女は突然踊り始めた。自由にのびのびと、縦横無尽(じゅうおうむじん)に走り回り、そして実に楽しそうに。必死に追いかけまわして連写の連続で撮りまくった。撮ったデータの記録を見てみるとその間約5分。結果実に約500ショットが残っている。その内セレクトして残ったのはこの一枚だけ。なので実は「撮れちゃった」写真なのです。100mmマクロのレンズを最大限に活かせる至近距離と完璧な構図、100%のピントの合い具合。三拍子そろっている。しかし、しかし、、、残念なことに逆光の上に顔が少し下を向いているので顔全体がアンダーで肌の色味が編集で調整しきれない。で、モノクロに変換してみた。顔のアンダーを正常に調整すると何とこの方が断然イイ。さらにコントラストを限界まで上げて仕上げた。Tシャツのハイライトの跳び過ぎなど全く気にならない。彼女の表情が語っている「心・技・体」を磨こうとする強い意志、信念のおかげと思われます。自分に課した撮影のテーマ「内側を撮る」ことが出来た会心の一作です。準大賞、有難う御座いました。

▼審査員講評丸林 正則氏

スポーツなのかダンスなのかは分かりませんが、じつにインパクトの強い作品だと思います。なにしろこの子の眼力は強力で一度見たらいつまでも印象に残るほどです。まっすぐにレンズを見つめている緊張の極限の表情を白い服に反射した光がレフ板代わりとなって照らしているのも成功の一因となりました。更にこの目と表情に加えて躍動感のある髪の毛の形がより緊張感を高めています。

準大賞

鏡面観光

細川 敏祐貴 さん(新潟県)

撮影情報
撮影地
イタリア
カメラ
LEICA Q2
レンズ
Summilux 28mm
絞り
5
シャッター速度
1/500
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
100
ご受賞者の声

この度は、準大賞をいただきとても嬉しく思っております。この写真はイタリアへ写真旅行をした際に撮影をしました。ベネツィアの観光名所でもあるサン・マルコ広場はちょうど雨があがったあとで、足もとの水たまりにはその素晴らしい景色がそのまま反射しておりました。その感動を残したくてシャッターを夢中で切りました。あとで確認をしたら自分でも驚くような写真が撮れていました。改めまして今回は準大賞、ありがとうございました。

▼審査員講評テラウチマサト氏

水面に映る映像と実際の風景を撮影し、逆さにして見せた写真は印象が深い。ローアングルでこの風景を見つけ、記念撮影している二人を画面の中心とした構図は、上下対称のバランス構図となってまとまっている。二人を入れたことで中心点が生まれたことが良かった。構図とは写真だけでなく、建築や絵画の世界においても、長い歴史の中で”眼に心地良い”画面として認知されてきたものだから、世界標準構図6パターンは、積極的に活用されることをお勧めする。28ミリレンズでの撮影により遠近感が強調されている。

準大賞

啓蟄の紅梅にメジロ

中曽称 正弘 さん(大阪府)

撮影情報
撮影地
大阪府 豊中市
カメラ
OLYMPUS OM-D E-M1 MII
レンズ
OLYMPUS 100-400mm F5.0-6.3 292mm
絞り
6.2
シャッター速度
1/4000
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
2500
ご受賞者の声

この度は準大賞をいただきありがとうございました。以前の受賞時と同様にうれしさが込み上げてきました。季節ごとに被写体が変わり、春先は梅とメジロを題材に撮影しています。すばしっこいメジロがふわりと舞い上がる場所を見つけ、すぐにカメラを向けました。数回のシャッターチャンスを夢中で撮影し、その中で1枚だけが納得できるものでした。偶然の機会を期待し、その機会をものにできるかどうかの緊張感を楽しんでいます。題材選びに苦心するようになってきたのですが、応募できる作品を撮れるようにと思案することが次へのステップになると思っています。

▼審査員講評テラウチマサト氏

華やかな紅梅がとても印象的な写真である。その鮮やかな紅梅の色を周囲に配置して、中心に入れたメジロの羽ばたく一瞬を見事に捉えている。4000分の1秒で羽ばたいていく瞬間の拡げた羽と、陽に透ける美しい羽が目に焼き付く。春の間近い1日が想像できる写真である。鳥の撮影とは、なかなか思うようにいかないものだ(そして、苦労の割に評価されにくいものだ)が、奇跡の様な1枚だと思う。かなり焦点距離の長いレンズでの撮影だから、手ブレ防止策としてISO感度をあげ、シャッタースピードを速くした効果が感じられる。

準大賞

愛に抱かれて

藤本 いきる さん(香川県)

撮影情報
撮影地
北海道
カメラ
情報無し
レンズ
情報無し
絞り
情報無し
シャッター速度
情報無し
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
情報無し
ご受賞者の声

この度は素敵な賞をありがとうございます。撮影からずいぶん年月が経ちました。あれは北海道の森でヘビをくわえた狐を見かけたのがきっかけです。そこには父親の帰りを待つ数匹の子どもたちと母親の狐がいました。父狐はヘビを母子の前に置きいずこかへ。ヘビの頭と尻尾を引っ張りあって綱引き状態の子狐たち。陽の光が差し始め子狐は母狐にすり寄ってやがて一緒にひなたぼっこを始めました。全身の力を抜いて休息するおだやかな時間。その時にシャッターを切らせてもらった一枚がこの写真です。慎ましく自然の中で生きるどうぶつたちは世代を超えた恨みや価値観の押し付け合いがなく、ただ今を生きている。おそらくあのとき出逢った狐の親子はもう北の大地に還っているでしょう。けれど彼らは、残された写真を通して生きるということを今も尚、私に教え続けてくれています。

▼審査員講評テラウチマサト氏

キタキツネの親子だろうか?温かそうな光と、露出調整により(プラス補正)、見た目よりかなり明るくした効果が出ている。その結果、とても優しい気持ちでこの写真を観ている自分に気づいた。心が満たされた気分。かなりアップのギリギリの切り取り方で母と子の交流を捉え、背景の明るい光で幸せ感を演出したことが成果に繋がっているが、もしもこの写真にしっぽまで写っていたらどんな気持ちの変化が生まれたのだろう。撮影後に、写真を観ながらいろいろ考えてみることは次回に繋がる良い方法だと思っている。お薦めしたい。

準大賞

KIZUNA

薄網 弘久 さん(東京都)

撮影情報
撮影地
東京都 中央区
カメラ
CANON EOS-1D X Mark III
レンズ
CANON EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
絞り
7.1
シャッター速度
1/500
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
200
ご受賞者の声

この度は、準大賞に選ばれたこと、光栄です。フォトマスター検定をきっかけにこの写真展を知り、以来参加しております。「あなたの1枚が、きっと誰かの心に届く」を信じ、動画にはない、一瞬の気づきを引き続き撮っていきたいと思っています。今回の規定テーマは「コミュニケーション」とのこと。ここ数年、撮影にも行けず、数少ない写真から、これだと思い応募したのがこの作品。東京2020パラリンピックのマラソンのワンシーンです。42.195キロ走ることもさることながら、視覚に障害を持ちながらも、伴走者の声とお互い手にしたガイドロープを頼りに走り切る。(後に、そのガイドロープを日本では「きずな」と称していることを知った。)コロナ禍の大会、走者を応援する人の数もまばらで静かな街を淡々と走る、その進路を道のペイントが導いていました。

▼審査員講評テラウチマサト氏

目の不自由な方に付きそう伴走者と、それを頼りとして走るランナーの写真。やや高いところから二人の走りすぎる様子を後ろから撮影したことで、表情や状況の伝わり方が少し弱くなった。けれど、それによりアスファルトのグレーの背景の中、道路標識のいかにもゴールを指し示す様な白い矢印の印象や、両サイドに引かれた黄色のラインが引き立つ。それらが、ランナーのシューズやウェアーに入ったオレンジの色、伴走者が付けているオレンジの服装などと相まって写真にまとまりを与えている。二人だけのマラソンレースという印象を強める結果となった。

準大賞

それぞれの暮らし

内海 一哲 さん(大阪府)

撮影情報
撮影地
ベトナム
カメラ
OLYMPUS E-M10
レンズ
情報なし
絞り
7.1
シャッター速度
1/250
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
200
ご受賞者の声

この度の準大賞の通知は寝耳に水、驚きを隠しきれませんでした。有難うございました。この写真の場面に遭遇したのは海外旅行での町散歩時間のことでした。活気あふれる下町の暮らしがそこにありました。目についたのは肩を寄せ合う営みの素晴らしさでした。人々の優しいほほえみでした。この写真の中には美しく晴れ渡った空もなく緑広がる山野もありません。なのに、そこにはホッとする優しさが積み重なっていました。どこにも人影のない寂しい区画が上下左右に並んでいるだけの写真ですが、そこに暮らす人たちの息吹が感じられて心が和みます。「今日も元気かい」と明るい声が響いてくるような気がします。準大賞、ありがとうございます。今後も私なりに感じた写真を撮り続けていきたいと思っています。

▼審査員講評テラウチマサト氏

ベトナムのそれぞれの人が暮らすアパートを撮影した写真。同じタイプの部屋のベランダが各部屋に住む人々の暮らしぶり、生活スタイルで違っている面白さが感じられ、興味を引きます。写真には、タイポロジーというジャンルがあって、給水塔を撮ったベッヒャー夫妻が写真界ではその代表的存在。似たようなシーンの写真を撮り続けることで、それを類型化して、写真を、社会を観る道具として活用した写真家です。このベトナムのアパートの写真にも各部屋を一望しながら比べる楽しさが感じられます。

準大賞

輝く蜘蛛の巣

桑木野 勝義 さん(長崎県)

撮影情報
撮影地
自宅
カメラ
CANON EOS 5D IV
レンズ
CANON EF100mm F2.8 マクロ
絞り
16
シャッター速度
0.4
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
100
ご受賞者の声

この度は「くるくる撮」と名付けた独自のクモの巣撮影方法の作品に「準大賞」をいただきありがとうございました。カメラは固定して撮影するのが常識ですが、私はカメラ・レンズを動かして撮影しています。ですので参考になる書等が無いため、レンズの振り方、雲台、バックスクリーン、女郎グモの巣台等、自作して何とか写真になる様になりました。年齢と共に足、腰が弱り苦労していますが、折角賞をいただいたのでもう少し頑張ってみようかなと思っている所です。

▼審査員講評川合 麻紀氏

色彩の美しさと、デザインの美しさが際立っている作品です。同じシリーズで色違いや光の形違いなどが何枚かあれば、インテリアとして複数枚を部屋に飾っておくと素敵だなぁと思いました。タイトルが「輝く蜘蛛の巣」なので、蜘蛛の巣のラインのキラキラをイメージされているのでしょう。光のぶれを撮影されているのかな、何をどうやって撮影しているのか興味津々ですが、わからない、でも、美しくていい感じ、というのも写真のジャンルとしては面白いなと思います。

準大賞

宵の花筏

唐沢 豊 さん(長野県)

撮影情報
撮影地
長野県 安曇野市
カメラ
Nikon Z6II
レンズ
Nikon Z 24-200mm F4-6.3 VR
絞り
13
シャッター速度
30
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
100
ご受賞者の声

このたびは、私の作品“宵の花筏(はないかだ)”を準大賞に評価頂きました事、大変嬉しく、また有難うございます。以前に一度、準大賞を頂いた事をきっかけに更に上位をと撮影を継続して参りましたが、以後は秀作止まりで行き詰りを感じつつ自問自答し撮影を続けておりました。“宵の花筏”は、葉がピタリと止まっていない、花の流れが良くない等で高速道路を1時間かけて3回通い、3回目の1コマです。午後2時頃から撮影、NDフィルターやC-PLフィルターを使用し、明るさや反射を抑えつつ夕方まで撮影、あたりが暗くなってきたので引き上げようとしたところ、ナトリウム灯が点灯し、全く違う様相となり、夢中で午後8時頃まで撮影しました。何年通っても気づかなかった場所にも、条件により思いがけない場面があることに気づかされ、通いなれた場所でも再挑戦し、今後も写真を楽しみたいと思います。

▼審査員講評川合 麻紀氏

宵の時間の花筏、とても美しい作品です。睡蓮の葉があることで、葉っぱについた花びらは止まっていて、その周囲は葉を避けるように形を作りながらラインができています。30秒というスローシャッターも、ちょうどいい止まり具合&流れ具合でした。このように変化がある部分が画面に入るようにすると、動きが強調されます。夕方の暖かい光が奥から部分的に差していて、水面と睡蓮の葉を輝かせ、とてもドラマティック。まるで水面に立体感があるような、ゆらゆらした感じに見えます。やはり写真は光が大事ですね。スローシャッターでの表現は実際に目で見たものとは違いますので、いい光と相まって、撮った後も再度感動されたのではないでしょうか。

準大賞

泥んこ祭り、大漁だ、泥水でかわいそう

加藤 芳一 さん(滋賀県)

撮影情報
撮影地
山梨県 南清里
カメラ
MINOLTA 807
レンズ
17-35mm F3.5
絞り
8
シャッター速度
1/250
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
160
ご受賞者の声

写真歴も長く、昭和25年から始め、富士フイルムより応募で特選、入選を取り、平成12年に第48回二科展に入選、平成29年から国際文化カレッジ総合写真展1本に絞り、平成29年第21回入選、平成30年優秀賞、令和元年秀作、令和2年入選、令和4年秀作、令和5年準大賞。1年をかけ、5月に応募して、3点出して8月に2点返却。3点の内、あの写真がね。今度は何の賞かな、10月の発表まで、10月になると毎朝ポストを見に行ってました。10月10日に入り、急いで見ましたら、準大賞と書かれていてびっくりし、令和4年1月13日に死去した家内に報告しましたら「パパおめでとう、良かったね」と云ってくれると思います。涙涙です。来年は大賞を目指して頑張ろうと思います。もう85才ですので、もつかな?ありがとうございました。

▼審査員講評川合 麻紀氏

菜の花や鯉のぼりが背景に見られるので、春の時期のお祭りなのでしょう。なかなかワイルドな行事ですね。ドロドロになって鯉を何匹も抱く子供の、ちょっと誇らしそうな笑顔が可愛いですね。子供達にとっては、水の中でドロドロになりながら動き回る鯉を捕まえるのは相当楽しかったのではないかと追い見ます。大変な攻防が終わって、静けさを取り戻したような雰囲気がします。なんとなく、時代が今ではない感じがするのですが、いつ頃の写真なのでしょうか。今でもこのお祭りが続いているのかなと思いながら拝見させていただきました。

準大賞

なら公園にて

草川 富夫 さん(大阪府)

撮影情報
撮影地
情報なし
カメラ
Nikon D800E
レンズ
AF NIKKOR 2.8E 80-200mm
絞り
8
シャッター速度
1/125
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
250
ご受賞者の声

最終審査の結果通知を頂いた時、びっくりしました。10年間活動をしてきて初めて受賞できたので、本当に嬉しく思います。この作品は奈良に行った時、大勢の海外からの観光客の方がいて、その光景に興味を持ち、何度もシャッターを切ったものです。沢山のショットの中からこちらの一枚を選びました。今後は日本各地へ行き、色々な光景に出会い、写真に収めたいと思います。

▼審査員講評川合 麻紀氏

観光地で自撮りしている方々を見ていると、みなさん被写体の近距離に顔を寄せて撮影したいのだなとわかります。お花でも顔周りに花を近づけるのをよく見ます。まさか鹿のツノの間に顔を入れたいとは思いませんでした。お二人ともとても嬉しそうないい笑顔ですね。鹿もなんとなくスマホ目線のように見えますね。今どきの撮影事情を覗き込んでいるような、ドキュメンタリーとしての面白さと、赤い服の色とグリーンの草の彩りの綺麗さが目を惹きました。

準大賞

はじける笑顔とシャボン玉

中川 浩介 さん(愛媛県)

撮影情報
撮影地
広島県 広島市
カメラ
Nikon Z6II
レンズ
NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
絞り
6.3
シャッター速度
1/1250
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
400
ご受賞者の声

この度は「準大賞」に選出していただき誠にありがとうございます。そして、数多くの素晴らしい作品の中から私の作品を選んで下さった審査員の方々へ心より感謝申し上げます。総合写真展は初級者から上級者まで幅広い層が参加できるのが特徴で、まだ全国公募展に参加したことのない方でも気軽にチャレンジできる公募展です。写真を撮るだけではなく、写真展で多くの受賞者の作品に刺激を受けることで自分を成長させるいい機会になると思います。私自身も、今回このような賞をいただき改めて初心にかえり、写真に対する想いを考え直すいいきっかけになりました。今まで私の写真活動を応援してくださった方々への感謝の気持ちを大切に、これからも自分を表現していければと思います。ありがとうございました。

▼審査員講評川合 麻紀氏

顔の前でシャボン玉がハジけちゃったのかな、びっくりしたような、嬉しそうな、なんとも言えない可愛いお顔の瞬間です。お子さんの写真は、おすましも可愛いですけど、普段の生活の中の何気ない瞬間が、後になってより愛おしく思えるのではないかと思います。瞬間の表情や仕草の素敵さはもちろんですが、髪の毛の質感やシャボン玉のきらめきが際立つような光の向き、主役が浮き上がる綺麗なグリーンの背景のボケなど、よく考えて撮影されているのがわかります。お部屋に飾っておきたくなるような、色合いが美しい作品になっています。

過去の開催風景