上位作品

第26回展の上位作品

内閣総理大臣賞

楽しいおしゃべり

宮田 ラリーサ さん(富山県)

撮影情報
撮影地
富山県 高岡市
カメラ
キヤノン
レンズ
24-105@32mm
絞り
f/4
シャッター速度
1/160
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
1250
ご受賞者の声

私は大学時代に、日本語を第二言語として学び始めました。学生時代から自分が一生懸命学んだ言語が活かせる職業に()きたいと思っていました。当時の私にとって、大の苦手だったことは機械を触ること、そんな不得意としていた機械操作が絡んでくるカメラを手にとり、今こうして素晴らしい多くの作品の中から私の一枚を高く評価して下さり、驚きと共に審査員の方々への感謝を心より申し上げます。私は四人の子供に恵まれ、子供の成長を記録にしたいという思いがきっかけで写真を撮り始めました。ただなんとなくシャッターを切ると言うことだけにとどまらず、子供達と一緒に水やガラス、自然光などを取り入れ、遊び心を交えながら楽しい思い出になるように撮影することを大切にしてきました。これまでたくさん撮ってきた思い出の写真は机の引き出しに眠ったままでしたが、あるとき娘の「ママの写真もコンクールに応募してみたら?」という言葉がきっかけで総合写真展に興味を持ちました。私の写真は審査員の目にとまってくれるのだろうかといった不安な気持ちが入り混ざる中、応募したことで失うものはないと思い、勇気を振り絞り、ここに至ることができました。今回素晴らしい賞をいただけたことで私自身、胸を張ってよりいっそう写真活動に専念することが出来る事と思います。私は写真を撮る時「見るだけでは不十分だ。あなたが撮影するものを感じなければいけない。」というハンガリー出身の写真家ケルテース・アンドルの言葉をいつも思い出します。おばあちゃん、やんちゃな子、そして海を撮るときでも撮影するものに寄り添い、受け取った感情をカメラ越しに伝えられるようにシャッターを切っています。子供のように日常の何気ないことにも興味を抱き、気づき、これからもずっと写真を撮り続けることが私の望みです。今後は、ポートレートや家族の思い出の瞬間、また今の社会情勢についての現実を写真で伝えることに挑戦していきたいと思っています。

▼審査員講評板見 浩史氏

視覚アートとしての写真の面白さが画面にギュッと詰め込まれた作品です。金魚の精密(せいみつ)描写(びょうしゃ)と見守る少女の屈託(くったく)のない表情に視線を導く水球の設定がたいへん効果的で、シンプルな画面構成の隅々(すみずみ)にまで作者の高い撮影技量とセンスを感じます。水に封じ込められた金魚との楽しげな対話、その彼女自身もまたコロナ禍で部屋遊びを強いられているという二重の構図にも深みがあります。潜在的な時代の閉塞感(へいそくかん)を決して深刻にではなく、愛らしい題材を使って軽やかにしかも前向きに表現したところが、この作品の真骨頂(しんこっちょう)だと思います。

衆議院議長賞

帰り道

板坂 知子 さん(大阪府)

撮影情報
撮影地
大阪府 大阪市
カメラ
キヤノン EOS 6D MarkII
レンズ
EF 70~300mm f4-5.6 176mm
絞り
F11
シャッター速度
1/640
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
500
ご受賞者の声

この度は、コロナ禍で滅入る日々の中、一条の光が射したかのように「衆議院議長賞」という素晴らしい賞をいただき光栄の至りでございます。誠にありがとうございます。そもそも、自分の写真はどれくらいの評価があるのかしら、と思いながら何気なくインターネットを開いたとき、国内最大級全国公募第26回総合写真展が目に入り、初めて大きな写真展にワクワクドキドキしながら応募したのがきっかけでした。そして、8月に入選の知らせが届きびっくり。『えっ!!私の作品が上野の東京都美術館に飾られるの?どの写真を選んでいただいたのかしら?』10月の中旬に受賞結果の返事が来るとの知らせ。『展示していただけるだけで嬉しいのに全国的な展示会での賞なんて有り得ないよね』と思っていました。10月中旬に待ちに待った封書が届きました。ドキドキ不安でいっぱい。ハサミを持つ手が心なしかはやり、開けてさらにびっくり…「まさか!!『衆議院議長賞』何かの間違いでしょ?シュウギインギチョウショウ 読み間違いではない?」と何度も主人に確かめました。「間違いじゃないよ。すごいね。良かったね。」と驚きと同時に一緒になって喜んでくれました。撮った写真は淀川の堤防の夕景を仲間と撮りに行った時、あの堤防に上がっていく橋に、光と影の中で異次元の不思議な世界を感じました。そこを通る人をいろいろ待っていたら、まるで不思議な国から帰って来たような少年が現れ、興奮してシャッターを押した時のものです。思えば、所属している写真クラブでの日ごろの勉強会が、走馬灯のように浮かび上がってきます。「写真に伝えたい想いは何なの?」「情景は?役者は?」「写真は引き算だよ。」「写真は光と影、うまく使わなくっちゃ」「見た目に物語性が欲しいね。」等々。クラブでの勉強を認めていただいたのかな?と自分自身の嬉しさだけでなく、何よりも指導していただいている先生や、クラブの仲間たち、好きなことをさせてくれる家族に感謝でいっぱいになりました。私自身の写真人生の励みだけではなく、先生を中心とした仲間たちとの日ごろの勉強にもますます意欲と高まりが盛り上がってくるように思います。今後とも楽しく頑張ります。本当に身に余る賞をどうもありがとうございました。

▼審査員講評板見 浩史氏

都市構造物のダイナミックなフォルムと質量感を、超望遠レンズによる狭い画角と圧縮効果を活かして非常に力強く画面構成した点に感心します。大きな河川の堤防と高速道路か鉄橋の交差するポイントで撮られたようですが、少年という登場者を選んだことで未来志向の都市光景というイメージが強まりました。鉄とコンクリートで囲まれた狭い空間を通過する少年も、ほかのどの位置でも成立しない絶妙なポイントで写し止められていて見事。よく見るとマスクをしていて、小さいけれど時代の証言者として写真上に刻印されました。

参議院議長賞

夏模様

木村 秀吾 さん(秋田県)

撮影情報
撮影地
秋田県 南秋田郡
カメラ
ニコン 26
レンズ
NIKKOR 270-200 f2.8
絞り
2.8
シャッター速度
1/500
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
情報無し
ご受賞者の声

この度は参議院議長賞という栄誉ある賞をいただきありがとうございます。日頃より秋田らしい原風景の中に我が子たちを入れた、どこか懐かしさ感じる日本をテーマに撮影しています。そして今回受賞した作品は我が家の田んぼでトラックの上でラムネを飲んでいる我が子たちを写したものです。真夏の夏空にラムネと麦わら帽子が良いアクセントになりました。今回初応募で参議院議長賞という結果に驚きと同時に、家族で作り上げた作品にどこか上位を狙えるのではないかという思いもあったので大変嬉しく思います。最後にいつも被写体になってくれる子どもたちと撮影をサポートしてくれる妻には感謝しかありません。家族4人で受賞した作品です。ありがとうございました。

▼審査員講評板見 浩史氏

田んぼの道に停められたトラック。荷台には小さな兄妹がお行儀よく座って、おじいちゃんかお父さんの農作業が終わるのを待っているのでしょうか。田舎のどこにでもあるような微笑(ほほえ)ましい光景が郷愁(きょうしゅう)を誘います。背景のまだ青い稲穂や湧き上がる雲も、タイトル通りの季節感に溢れています。子供たちの仕草に少しも作為が見られず、シャッターチャンスも良いですね。すべてを見せようと欲張らず、子供とトラックだけで農作業の様子を想像させたことが成功の要因です。トラックの色も青空とよく響き合い、効果を上げました。

文部科学大臣賞

昨日の私にサヨウナラ

田中 詩浬 さん(大阪府)

撮影情報
撮影地
大阪府 大阪市 大阪駅
カメラ
キヤノン EOS M 100
レンズ
canon EF-M28mm f3.5 マクロ IS STM
絞り
6.3
シャッター速度
1/125
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
1000
ご受賞者の声

このたびはたいへん大きな賞をいただき、ありがとうございます。数多くの作品の中から私の写真を選んでくださった審査員の方々、撮影に協力してくださったモデルのお二人、そして両親にまずは感謝の気持ちを伝えたいです。ありがとうございました。
今回大きな写真展に参加してみたいと思い、総合写真展に応募しました。審査結果の封筒を開けてみた時、文部科学大臣賞がどのくらいすごいことなのか、実は、わかっていませんでした。でも、どれぐらいすごいことなのか、分かった時、飛び跳ねるくらい嬉しかったです。大阪駅に出かけたときに「ここにこんなふうにいたらいいな」と思える階段を見つけました。階段の上が未来で、下が過去を表して、まわりの人々が過去にさよならをしているみたいに撮りたいと思いました。撮影の時には両親が電話をつないで、上の階にいる私のイメージを下の階にいるモデルさんに伝えてもらいました。最初は真っすぐに向かって歩いてもらいましたがなんだか不自然だったので、対角線に近づいてもらったりしていい感じに撮ることが出来ました。これまでは、花と動物を主に撮っていましたが、今回撮ったような街と人とのストーリーが、感じられるものを、これからもたくさん撮っていきたいと思います。そして多くの方に見てもらえるような写真が撮れるよう、頑張っていきたいです。

▼審査員講評板見 浩史氏

まるでドラマか映画のロケでもあるかのような完成度の高い状況設定と画面構成に、まず驚かされます。さらに登場人物もドラマチック。階段を上下に行き交う二人の女性だけが黒と赤のドレス姿で、両脇のエスカレーターに乗る一般の人々とは隔絶(かくぜつ)された別の世界にいるようです。赤と黒の女性のどちらかが「昨日の私にサヨウナラ」する今日の私、ということなのでしょう。赤い色だけを活かすパートカラーのアプリを上手に使って非日常の世界を創り出した作品だと感心しました。

東京都知事賞

岬にて

尾崎 千夏 さん(埼玉県)

撮影情報
撮影地
宮崎県
カメラ
キヤノン Kiss x7i
レンズ
50mm
絞り
6.3
シャッター速度
1/320
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
100
ご受賞者の声

この度は名誉ある賞をいただき誠に光栄です。この写真は、地元を離れる前に母と自分の故郷である宮崎県を二人で旅した時に撮りました。目の前に広がる美しい景色の中にどこか寂しさや希望が写っているように感じます。今回、初めての応募でしたが、「あなたのその一枚が、きっと誰かの心に届きます。」その言葉の通り、一人でも誰かの心に届くことを願っています。これからも光を見つけて、あたたかい眼差しで見つめ写真を撮り続けていきたいと思います。

▼審査員講評板見 浩史氏

宮崎県都井岬に放牧されている有名な御崎馬(みさきうま)だと思いますが、完璧な画面構成や色調、画像の独特の調子などから、かつて日本で明治~大正期に写真界を風靡(ふうび)した「ピクトリアリズム」(絵画主義)の写真をふと思い浮かべてしまいました。もちろん当時のようなピグメント印画というアナログ方式ではなく、この作品はデジタルアプリによる色相変換などを駆使(くし)して作られたものだと思います。温故知新の一例でもあり同時にクリエイティブでもある不思議な魅力のある作品として高く評価したいと思います。*ピグメント印画…印画(陰画を焼きつけた画像)法の一つ。

東京都議会議長賞

春の朝市

佐藤 直也 さん(青森県)

撮影情報
撮影地
青森県 八戸市
カメラ
ソニー a99M2
レンズ
sony SAL 1635
絞り
8
シャッター速度
1/2500
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
250
ご受賞者の声

この度は「東京都議会議長賞」に選んでいただきありがとうございます。総合写真展は初めての応募でしたが、まさか賞に選んでいただけるとは思いもしませんでした。この撮影は春の寒い八戸館鼻(たてはな)岸壁(がんぺき)朝市で、咲き始めの桜の枝を買い求め買い物をしていた方の一枚です。カゴを背負っているのも港町の八戸ならではかと思い撮影しました。この場面に出会えて嬉しいひと時でした。ここはよく行く場所で自分の視点でおもしろいと思い、何気なく撮影したのですが、何か惹かれた一枚でしたので応募してみたら、賞をいただくことが出来ました。近場でも何か惹かれる一枚で入賞のチャンスもあるのだなと思います。この度は選んでいただき本当にありがとうございます。

▼審査員講評テラウチマサト氏

タイトルは写真への香辛料や隠し味みたいなものだと思っているが、「春の朝市」とタイトルを付けられたことで、この写真を見る者に、地方で開かれる朝市の風情というイメージを抱かせ、観る視点と感情が高まった。さりげないが良いタイトルだ。朝の太陽の光が斜光線となる時間帯。その時間を上手に使い、新聞紙で包んだ花木を背負う籠の人を上手く浮かび上がらせている。周囲の黒っぽい人影と一本の光に照らされた道。それを背景に使い、人物をクローズアップしたことで籠の人の人生というものまで捉えることができたと言える。

大賞

特等席

筒井 健作 さん(東京都)

撮影情報
撮影地
東京都 港区 アクアパーク品川
カメラ
キヤノン EOS R5
レンズ
キヤノン RF24-105mm F4L IS USM 24mm
絞り
4.0
シャッター速度
1/50
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
3200
ご受賞者の声

この度は初めて応募した総合写真展で思いがけず栄誉ある賞をいただき誠にありがとうございます。受賞通知をいただいた時、まず高い評価をいただいたことに驚き、次に受賞作品が孫を撮影したものだと知って喜びもひとしおでした。さっそく娘(被写体の母親)に連絡すると大変喜んでくれました。受賞作品は品川の水族館に娘一家と遊びに行った際、孫にイルカショーを見せようとした時のものです。大変人気のあるイルカショーは既に満席で座席に座ることができません。また立ち見の人もとても多かったのですが、小さな子供に見せたいからとお願いして通路の真ん中に孫を座らせることが出来ました。その特等席でイルカショーを一心に見ている孫の背中から撮影しました。イルカの動きを止めるには高速シャッターで連写する必要があり、一方、孫とイルカの両方にピントがくるよう被写体深度を深くする必要もあり、と設定に悩みながら撮影した中で一番良いタイミングを捉えたのがこの作品でした。写真は一期一会であるとよく感じます。今回受賞した作品もいろいろな偶然の重なりの中で訪れたシャッターチャンスでした。その一期一会を作品として残すには技術や感性をもっと磨かなければならない、今回の受賞でその思いを新たにしました。

▼審査員講評テラウチマサト氏

イルカのショーを一人で眺める子どものシルエットから伝わるものは、二頭のイルカの見事なジャンプをベストタイミングで捉えたにもかかわらず、今を生きる子どもの孤独感のようなものだった。だからこそ、この写真のテーマが新鮮に思えたし、単純なイルカショーの喜びを表現したものならばこの賞ではなかったかもしれない。普段なら盛り上がるベストタイミングで捉えたショットにもかかわらず、伝わってくる気持ちは歓声を上げることが許されない寂しさ。それは、観客のしぐさや、少年の周りにできたブルーの色味、広角レンズの遠近感の強調により伝わってきた。タイトルからすると、作者の意図とは違うのかもしれないけれど「特等席」であることに変わりはないだろう。

大賞

祭り準備

杉浦 和行 さん(愛知県)

撮影情報
撮影地
愛知県 碧南
カメラ
ニコン D5600
レンズ
ニコン18~200mm
絞り
4.2
シャッター速度
1/400
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
3200
ご受賞者の声

このたびは素晴らしい賞をいただきまして誠にありがとうございます。この作品は、私が携わる地元のお祭りの山車の蔵を撮った写真です。私が山車保存会に入会して30年余りたちます。写真の構図、構想はその当時からあったものですが、その時まだ若く先輩方にお願いできるわけもなく写真にする機会はありませんでした。現在は指導する立場となりましたので、後輩に声をかけ、蔵の雨戸枠に乗ってもらいこの作品になりました。私としても長年の思いが形になって嬉しく思っています。今回の大賞は私のなかで最高位になります。これからもこの賞を励みに自分らしい作品を表現していけたらと思っています。

▼審査員講評テラウチマサト氏

自分たちがこしらえたフレームにそれぞれが収まってショーウィンドウの中に立つマネキンのよう。いろんな人たちが思い思いの格好でそれぞれポーズを取り、それがタイポグラフィのように類型化されていて面白い。枠の中に立つ一人一人の、それぞれ自然にとったポーズが個性となり、一マスごとの面白さが伝わるし、12人がそろって立つトータルでの面白さも同時にあり、この二つの要素が職人図鑑といった趣になっている。1階部分だけが一人一人を囲むマス目がないこともよい変化となって、ともすれば単純になる点をカバーしている。*タイポグラフィ…文章を読みやすく見せるデザインの手法

準大賞

着付け前

梁井 英雄 さん(三重県)

撮影情報
撮影地
岐阜県 不破郡 垂井町
カメラ
ニコン D850
レンズ
ニコン24-120mm F4
絞り
4.0
シャッター速度
1/500
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
1600
ご受賞者の声

この度は準大賞に選出していただきありがとうございました。この作品は、毎年5月に岐阜県垂井町で行われる垂井曳軕(ひきやま)まつり、子供歌舞伎のワンシーンです。化粧を終えて、衣装の着付け、かつら被せを静かに待っている芸児の姿を撮ったものです。演技本番が刻々と近づき、不安の中にも稽古に裏付けされた演技に対する自信、覚悟等が感じられる表情を捉えることが出来たのではないかと思っています。この賞を励みにこれからも写真ライフを楽しんでいきたいと思います。

▼審査員講評テラウチマサト氏

舞台化粧を終え、着付けの順番を待つ子どもだろうか。白づくめの子どもが白のタオルをかけて舞台の袖で順番を待つ姿は、寒々とした仕草や雰囲気と共に、子どもの心の舞台に立つドキドキした不安も写し込んでいるようで魅力を感じる。暗い室内の中で、そこだけ光が差しこんでいたのか、浮かび上がる様な光の構成も魅力。明るい白からグレー、そして、黒に至るモノトーンのグラデーションが美しく、明度差を活かした撮影は、格調が高く感じられたり品位を感じたりして、写真にある種の品を加えた。唇やまなじりの赤い紅、紫の布がモノトーンの写真にアクセントを加えた。

準大賞

夕照

森 保 さん(滋賀県)

撮影情報
撮影地
滋賀県 近江八幡市 長命寺港
カメラ
キヤノン EOS R6
レンズ
RF50mm F1.8
絞り
4.0
シャッター速度
1/250
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
12800
ご受賞者の声

このたびは「準大賞」を頂戴しありがとうございます。昨年初めて総合写真展に応募し「審査員奨励賞」をいただいた時もびっくりしましたが、本年「準大賞」の通知には、マサカ?マサカ!の驚きと嬉しさが込みあがりました。41年前、長女誕生で成長記録に子供の写真残そうと妻と相談しカメラを購入してからドッポリ写真の魅力にはまりました。長女の成人と長男の高校卒業で一先ず、成長記録に区切りを付け、祭りや動物の撮影に移りました。最近は動物写真が多く、昨年、そして本年の作品も漁港の猫を狙った作品です。動物は演出出来ませんので難しいのですが、背景、動物の表情等、狙った写真が撮れた時は最高です。今後も精進し頑張りたいと思います。総合写真展の益々のご発展を御祈願申し上げます。

▼審査員講評テラウチマサト氏

黒い猫の存在感が半端なく伝わってくる、いわゆるペットのかわいい猫写真ではなく、野性味あふれる黒猫。夕日を写し込むオレンジの海と同じ色の猫の瞳が背景色と合致し一枚の写真としてまとまっている。海に写り込む黒い杭の影もいい。また猫のボディにラインライトが当たり毛の一本、一本までも写し込まれ、コンクリートも(にぶ)く光り黒く潰れてはいない。逆光を上手に写真表現として活かしている。また、猫の目を光らすストロボが効果的だ。強く当てた光でなく猫の顔部分への光が程よく効果を生んで、それが猫の存在を強くし、一枚の写真のトータル的な美しさや強さになっている。

準大賞

ようこそ!この世に

明楽 俊應 さん(岡山県)

撮影情報
撮影地
岡山県 津山市
カメラ
キヤノン EOS 5 MarkII
レンズ
キヤノン ZOOM LENS EF 16-35mm 1:28 USM
絞り
8.0
シャッター速度
1/30
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
400
ご受賞者の声

私の作品を「準大賞」に選んでくださいました審査員の先生方に、厚く御礼申し上げます。 田舎に住む一老人の作品をお選びいただき「感謝」の一言しかありません。高齢ですがこの受賞を励みに、ますます写真撮影を生きがいとして頑張っていきたいと思っております。 この作品は、知り合いのご家族で赤ちゃんが誕生し、お祝いの会を催されるということをお聞きし、急きょ写真を撮らせていただくこととなりました。当会にお集まりの皆様は、結縁の濃い方々ばかりで、その喜びは大変なものです。その皆様の喜びを写真でどのように表現したものかと思案をし、ご参加の皆様に相談を持ちかけたところ、「皆で胴上げをしたら」との意見が出ました。もちろん、赤ちゃんの安全上、手を添えるだけの仕草でしたが、皆さんの喜びが十分に表現できたのではと思います。この赤ちゃんを撮らせていただいたチャンスに感謝し、赤ちゃんが健康で幸せな人生を歩まれることをお祈りするばかりです。

▼審査員講評丸林 正則氏

子供が産まれて最初の記念写真の多くはベットに寝かされた姿、顔。また母親や父親との3人が頬寄せたカットなどではないでしょうか。もちろんこれも良い記録となりますが、定番ではなくもっと作品的に撮っておきたいと望まれる方には良いお手本となるのがこの作品です。まず撮影意図が明確であること。この意図を表すためにはどのような構成、構図が良いかを熟考してから臨んでいることが拝察できます。子供が我が家族の一員に加わった歓迎の意を家族の手で包み込むように囲み、それぞれの手の表情だけでそれを表しています。これは家族の宝となる掛け替えのない一枚となるでしょう。

準大賞

幸せな時間

小川 龍一 さん(北海道)

撮影情報
撮影地
北海道 恵庭市
カメラ
ニコン Z9
レンズ
nikon AF-S VR zoom-Nikkor200-400.450mm テレコン×1.4
絞り
5.6
シャッター速度
1/2500
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
1000
ご受賞者の声

この度は大変名誉ある賞をいただき誠に有難う御座います。また、いつも私の写真活動を応援してくれている妻や両親に感謝しています。今現在、住まいの拠点としているここ北海道は美しい自然風景の中でたくさんの野生動物たちの息づかいを感じられる場所です。その彼らも、私たち人間と同じ人生のサイクルで生活をしています。そのサイクルの中で私が一番大事にしている「自然の美しさ・尊さ」という瞬間を表現したのが今回のこの作品でした。キタキツネはエキノコックスという寄生虫を媒介する生き物として北海道では度々敬遠されてしまう野生動物です。その敬遠されがちのキタキツネのイメージを払拭したくて特に力を入れて撮影に取り組みました。私は写真を通じて、自分の生涯をかけてキタキツネをはじめ、ヒグマなどの危険動物も含めて「共存・共生」を目指して発信していきたいと考えております。

▼審査員講評丸林 正則氏

この作品からは優しくて暖かな空気が流れて来るように感じます。キタキツネの親子を捉えたものですが、フレーミングの(たく)みさで親子の愛情を強く印象付ける作品となっています。そのフレーミングですが、親子ともに体全体を写し込むのではなく、あえて画面の左右をカットして口元と目の表情だけに見る者の視線が向くようにしています。これによって子に対する親の溢れる愛情が強く伝わって来ますし、安心して親に顔をなめてもらっている子キツネの甘えた気持ちもストレートに感じられます。また超望遠レンズを使って大きくて柔らかなぼけを得ているので、親子が短いながらも「幸せな時間」を過ごしている様子だけが浮き上がって見えています。

準大賞

フォトブック

伊藤 嘉彦 さん(山形県)

撮影情報
撮影地
山形県 尾花沢市
カメラ
キヤノン EOS 5D MarkII
レンズ
EF 100-400mm
絞り
32
シャッター速度
1/200
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
400
ご受賞者の声

第23回展より応募していますが、今回は思いがけず準大賞に選出していただき、驚きと喜びでいっぱいです。今回の写真は90歳を過ぎた老女二人(私の母親と近所の婆さん)が七五三を撮ったフォトブックを喜びの表情で見ているシーンを静かに写しました。老人にとっては子供写真を見るのも少なくなっている社会ですが、老人が写真に撮られるのも少なくなっている気がします。被写体になった二人も大変喜んでいます。これからも思い出に残す家族や集落の人々をたくさん撮っていきたいと思います。それから総合写真展に応募することは東京に行く機会ができることです。これを目標に田舎者が写真を撮ります。

▼審査員講評丸林 正則氏

心和む好作品です。ワンカットを見ている二人の表情だけにポイントを絞り、フォトブックにはどのような写真が載っているのかは写されていません。二人とも同じようににこやかな顔を見せているので、共通の思い出写真を目にして、その時を昨日のことのように思い出して語り合っているのでしょうか。このように写真をあえて見せないことが見る者にいろいろな想像をさせることが出来るのです。またこの作品はフレーミングの上手さも際立ちます。画面いっぱいに二人の上半身とフォトブックだけを入れて、他のものは写し込まないようにしているので、二人の心の動きがストレートに伝わって来ます。

準大賞

安福寺 節分祭

岡野 正美 さん(茨城県)

撮影情報
撮影地
茨城県 つくば市
カメラ
ニコン D850
レンズ
ニコン AF-S Fisheye
絞り
情報無し
シャッター速度
情報無し
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
情報無し
ご受賞者の声

この度は、このような素晴らしい賞をいただき、大変光栄な次第です。誠にありがとうございます。この写真は、当家が檀家(だんか)となっている安福寺というお寺の節分祭のクライマックスで豆とお菓子を撒き始めた瞬間の写真です。事前に構図を決め、より多くの脇役となる手前側の人々を写真に収めるために魚眼レンズを使用しました。主役である撒く側の人同士が重ならなかったのも良かったです。世間がコロナ禍で様々な行事を中止にし始めた2020年、数日前まで開催と中止が半々でしたが、70回目の節目の年だったこともあり、充分検討した上での決断で節分祭を行ったお陰で良いシチュエーションに巡り合えたのもこの写真を撮れた要因になります。これからもこの時しか撮れないチャンスとタイミングに巡り逢えるように写真を楽しみながらシャッターを切りたいと思います。

▼審査員講評丸林 正則氏

節分祭といえば寺の建物の上から福豆などを撒く場面を思い起こしますが、この作品では本堂でしょうか、建物内でそれが行われているようです。野外と違って狭い室内で節分祭のスケール感を出す方法として魚眼レンズを選んだのは正解です。このレンズは特徴をよく理解して使わないと大失敗に終わることがあるので、表現意図をしっかりと決めてから用いるのが重要と言えます。撮影アングルの選択の適格さ、ファインダーの隅々までしっかりと確認し、必要以外のものが写り込まないように注意して、場内が最も盛り上がった瞬間にシャッターを押しているので、臨場感溢れる作品が得られたのです。

準大賞

まだかな!

北村 奉正 さん(群馬県)

撮影情報
撮影地
長野県 奈良井宿
カメラ
ニコン D500
レンズ
ニコン 18-300(48mm)
絞り
5.6
シャッター速度
1/1600
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
320
ご受賞者の声

準大賞にびっくり。昨年は秀作でしたので、開封後、胸がときめきました。作品は長野県奈良井宿の夏祭りで、各戸では通りに面した部屋にすだれを掛け、山車が来るのを待ちます。運よく、可愛い女の子が、「まだかな!」と覗いた瞬間を撮らせていただきました。写真は真実を写すと書きますが、そのシンは「心」に通じます。写真は真実を正確に捉える記録の機能だけではなく、撮り方により作者の「心」を表現できる創作の機能(写心)があり、芸術です。この受賞は、今後の励みになります。写心の精神で精進すれば、将来も報われると感じました。

▼審査員講評丸林 正則氏

まさに映画のワンシーンを見るような好作品。強い光、すだれ、浴衣などの舞台装置が整った中で、女の子が何かが来るのを待っている一瞬を捉えたもので、果たして何を待っているのでしょうか、この画面内にはそれが写っていません。それを見せてしまったのではこの作品の良さは半減されてしまいます。お神輿なのかお友達なのか、見る者にいろいろな物語を想像させることで作品の力は増しているのです。カメラを前にしても女の子の視線と体の動きなどに不自然なところがなく、遠い昔の光景を思い出させてくれる様な作品になっています。

準大賞

世界

森 祐太 さん(埼玉県)

撮影情報
撮影地
福岡県 糟屋郡
カメラ
ペンタックス K-1 MarkII
レンズ
PENTAX 150mm
絞り
4.5
シャッター速度
1/640
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
200
ご受賞者の声

私は、写真を撮る際には、常に被写体に自分自身を投影しています。何を撮っても、映し出されるのは自身であり、私のその瞬間の気持ちです。綺麗なものをそのまま綺麗に撮ることに興味はありません。私の(よど)んだ心情、物の見方が映し出されてこそ、私の写真になります。受賞作品の「世界」は、私から見たこの世のイメージです。神の視点とプレイヤーとしての現実の狭間で立ちつくす私の自画像なのです。

▼審査員講評徳光 ゆかり氏

幾つもの対比を組み合わせた世界を感じられる作品です。黒白表現や広角レンズの遠近感、大きな涅槃(ねはん)(ぞう)と小さなお地蔵さまなど、見る側の好奇心を誘い込んでいます。絞りの数字もよく設定されていて、右下のお地蔵様へ視線を惹きつけながら、左上を大きく占めているお顔に視線を誘導する役目を、林立する柱に持たせています。お地蔵さまの位置が絶妙です、これより右寄りだったら右下と左上で作品が二分されていたでしょう。大きくプリントしてみたい作品です。

準大賞

甦る大地を見つめて

川畑 耕作 さん(埼玉県)

撮影情報
撮影地
埼玉県 さいたま市
カメラ
富士フイルム X-T3
レンズ
56mm位置 XF18-135mm zoom
絞り
11
シャッター速度
1/500
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
400
ご受賞者の声

作品は、2022年1月秋ヶ瀬原公園(埼玉県さいたま市)の野焼きを撮影したものです。都会に近い野焼きを、あまり期待はせずに出かけましたが、最初の火付けの瞬間から刻々と変化する炎に感動しました。やがて火が消え人々が帰路につく頃、熱せられた大気の揺らぎ・煙の中に火落ちを見守る方がいました。私には大地を再生する番人に映り、凛としたその姿に感動しシャッターを押し続け、今回の写真を撮ることが出来ました。日々の出会いを大切にすることを再認識しました。今後、さらに精進していきたいと思います。今回、名誉ある賞をいただき、大変うれしく思います。ありがとうございました。

▼審査員講評徳光 ゆかり氏

人物のサイズが作品を物語って、作品をまとめています。また、人物のポーズ、形もいいですね。画角を充分に活かした構図です。左右端を樹々で挟んで奥中央にも大きな樹、その左下の明るい部分に人物。(たたず)んだ姿がこの作品のテーマを強く表現しています。くすぶった白い煙の形もシルエットの木や人物を目立たせています。右下の物体は奥行表現となっていますね。タイトルは説明を超えて作品の一部になっています。

準大賞

帰途路を急ぐ

成嶋 則之 さん(千葉県)

撮影情報
撮影地
千葉県 松戸市 河川堤防道路
カメラ
キヤノン EOS 6D MarkII
レンズ
EF-M 18-150mm(100mm焦点)
絞り
16
シャッター速度
1/640
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
400
ご受賞者の声

この作品は、2021年10月の午後5時頃に撮影したものです。コロナ禍で、まだその実態や動向が見えない中、遠出ができず、自宅から車で10数分の河川沿いに通った時の1枚です。親子と思われる二人が自転車に乗って、帰宅を急いでいるように感じました。自宅には、おいしい夕飯が待っているだろうと想像したくなり、そんなシーンを切り取れた思います。
秋から冬にかけて、当初、ダイヤモンド富士(富士山から比較的離れた千葉県からなので、ダルマ富士とも)を撮りに出かけていましたが、そのうち、河川敷を行き交う人々の姿を撮るようになり、数えてみたところ、通い初めて24回目の作品でした。ジョギング・犬の散歩・サイクリング・釣り、などいろいろありましたが、結局、この自転車の作品となりました。夏にかけてほとんど訪れていなかったのですが、この季節には、テントで過ごす人もおられ、これもまた、その方たちのその時間に気持ちを写真で表現できるよう、撮影を続けてきたいと思います。

▼審査員講評徳光 ゆかり氏

シルエットの形がタイトルの「急ぐ」を表現しています。ほんの一瞬だったと思いますが見事に捉えていますね。画面に右から左への動きを感じさせる事も素晴らしい。(かす)んで見えているスカイツリーによって、全体が洒落(しゃれ)て見えますね。スカイツリーより下の方に見える町並みにもこの時刻らしい温かさを感じます。シャープなピント、作品表現に合わせた適正露出などの基本が生かされた、印象に残る作品です。

準大賞

笑顔の推進力

相川 頼之 さん(千葉県)

撮影情報
撮影地
京都府
カメラ
キヤノン 1DX
レンズ
キヤノン 85mm F1.2
絞り
2.8
シャッター速度
1/4000
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
100
ご受賞者の声

千年の都「京都」その伝統文化を育み守り続けてきた人々や風土。その一つに花街における芸舞妓文化があります。多くの舞妓さんは修学旅行で京都を訪れ、舞妓さんの可愛らしさや華やかさに憧れ中学を卒業すると、親元を離れて置屋さんで見習いさんとして芸を学びます。以来見習い一年、舞妓五年、お礼奉仕一年の7年間を無給料で働き研鑽を積み舞妓となります。この作品は夢を追いかける希望に満ち溢れた一年目の舞妓さんの笑顔を撮らせていただきました。

▼審査員講評徳光 ゆかり氏

タイトル通り、弾けるような笑顔が明るくていいですね。モデルさんの上手に飛ばしたいという気持ちとポーズ、飛んだ瞬間のまさに弾けるような笑顔、竹トンボの推進力、すべてをひとつにまとめられています。少しボンヤリ見せた背景の状況もきちんと伝わります。光をいっぱいに受けた瞳のハイライトも生き生きしていて、浴衣の袖の形からも瞬間の力強さが伝わります。色彩表現も背景の緑と帯の赤、浴衣の撫子模様の藍色とシンプルな組み合わせが印象的です。

準大賞

天(そら)

白山 貴浩 さん(広島県)

撮影情報
撮影地
鹿児島 水中
カメラ
キヤノン EOS 80D
レンズ
Tokina 10-17mm
絞り
情報無し
シャッター速度
情報無し
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
情報無し
ご受賞者の声

この度は、輝かしい賞をいただき、誠にありがとうございます。自分が「いいな」と感じてシャッターを切った写真が、見ていただいた人にとっても「いいな」と思ってもらえる写真になるようこれからも精進します。

▼審査員講評徳光 ゆかり氏

まるで天空のような、という思いのタイトルなのでしょうか。雲の上も海の中も美しい世界なのですね。色彩も想像を超える多彩な世界だと伝えてくれているようです。写真としての要素である色再現や全体の構図など力強くまとまっています。こんなにたくさんの魚の真ん中に、こんなに堂々と登場できる赤い魚が印象に残ります。タイトルは説明的じゃないのが良いと思います。一見、一瞬をアートに仕上げた作品です。

準大賞

はるかかなた

齊藤 隆広 さん(東京都)

撮影情報
撮影地
神奈川県 藤沢市 江ノ島
カメラ
キヤノン EOS R5
レンズ
キヤノン RF 70-200mm F2.8 LIS USM
絞り
4.0
シャッター速度
1/125
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
100
ご受賞者の声

今回、素晴らしい賞に選出していただき、審査員の皆様、そして一緒に作品を作ってくださったモデルさんには感謝の言葉しかありません。撮影をする時に心がけていることは写真という平面の世界に奥行きを与え、見る人を引き込むことです。そして被写体の方には自然に自由に心(おもむ)くままに表現していただいています。人もまた自然の一部。融合した世界の向こう側「はるかかなた」に何があるのか。見つける事ができる日まで私はシャッターを切り続けます。

▼審査員講評川合 麻紀氏

海風の香りがする素敵なポートレートですね。ポートレート系の写真は人物にクローズアップするものが多い中で、シチュエーションを最大限に活かしながら、人物の魅力をよく引き出した作品になっています。橋の下でしょうか。海の気配の中で、()がれていたりくっついていたりして表情が豊かな柱たちが、シンメトリーに並んでいる感じは、おそらく実際に目にするのとは違った美しさがあります。色があまりないところに、程よい色彩の洋服を(まと)った人物が際立ち、風の揺らぎで柔らかさと動きが感じられます。目を惹きつけられる作品です。

準大賞

鮎漁解禁日

世古 道也 さん(三重県)

撮影情報
撮影地
情報無し
カメラ
ソニーα A900
レンズ
Sony 16-50 f2.8(ズーム)
絞り
5.6
シャッター速度
1/2000
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
200
ご受賞者の声

受賞はもう二度とないと思っていたので、ものすごく嬉しいです。地元の人との付き合いの中でお互いに構えることなく自然体で撮影させてもらいました。今後とも、楽しく被写体にカメラを向けたいと思います。自分の写真レベルの向上のために、開かれたコンテストは絶好のチャンスです。

▼審査員講評川合 麻紀氏

「鮎漁解禁日」ということでさしあみ漁で獲ってきた鮎を網から外しているシーンだと思います。いいお天気で光が鮎と網に当たっていて、綺麗な鮎の色と、網の細かで繊細なところがよく見えるだけでなく、1枚の絵として見た時も、ブルー系の色彩が美しく、興味深く拝見させていただきました。標準レンズをお使いのようですので、かなり接近して撮影されていますね。漁師さんの手の様子や背景の風景もある程度見えることで、初めてこのシーンを見る人の興味を満たす、適度な情報量になっていると思います。

準大賞

孤影

内海 一哲 さん(大阪府)

撮影情報
撮影地
大阪府 池田市
カメラ
オリンパス OM-D
レンズ
情報無し
絞り
情報無し
シャッター速度
情報無し
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
情報無し
ご受賞者の声

昨年に続き「準大賞」のご通知をいただき驚いております。この作品は蒸し暑く眠れない夜更(よふ)けに窓から眺めた道路の光景です。静まり返った夜更けの道をただ独り歩く人影、濡れて光る雨上がりの路面にその影を落として行く姿に、人生の悲哀(ひあい)を感じたものです。残業をしての仕事帰りなのか、雨上がりの道を独り行く影に寂寥感(せきりょうかん)すら感じてカメラに収めた一枚です。道路に描かれた白いライン、()を描いて垂れる数本の電線、白く光るマンホールの蓋なども雨上がりの道を演出する道具立てとなったように思います。人影がひとつ、やるせない影を路面に投げかけて向こうへ歩いていく…自分の姿を投影しているようです。

▼審査員講評川合 麻紀氏

街のどこにでもある一本の道。普通の状態ではアスファルトの道や周囲の様子は綺麗とは思わない場所なのかもしれません。ここまで明暗さを極端(きょくたん)に出し、シルエットとして人物を見せるのは、写真ならでは、そして内海さんの感性の、明るさ表現ですね。道の左右は見えないくらいにつぶし、アスファルトの道はまるで輝いている様。その中で歩道のラインがさらにまっすぐ一本(きら)めいています。露出やコントラスト表現だけでなく、このアングルを見つけたことも成功のポイント。たった一人のシルエット、魅力的です。

準大賞

高原に生きる喜び春

村木 眞樹子 さん(岩手県)

撮影情報
撮影地
岩手県 二戸市 奥中山高原
カメラ
オリンパス OM-D MarkIII
レンズ
12-200mm
絞り
22
シャッター速度
640
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
4000
ご受賞者の声

写真を始めたのは70歳の時でした。新しいことを覚えるのは大変。特に横文字は反射的に拒否反応が出て、今でもカメラの機能を含めて分からないことが多すぎて、先輩たちには「まあ、実際に自分で撮って何回も経験して自分で覚えていくしかないね」と呆れられている状態です。でも、写真を撮らせていただき、プリントして次に持って行くとほとんどの方が喜んで受け取ってくださいます。下手でも。それが何よりうれしくて、カメラを手放すことができません。今回の写真も相手の方はびっくりされながらも大笑いをして受け取ってくださいました。これからも、相手の方とのコミュニケーションを大事にし、心から喜んでいただけるような写真を撮り続けたいと思っております。賞に選ばれて本当にうれしいです。ありがとうございました。

▼審査員講評川合 麻紀氏

撮る方と撮られる方のコミュニケーションが素晴らしく、関係性がいいんだろうなぁと思います。カメラに向けられた笑顔がとても自然で、かわいらしく、見ている私まで笑顔になってしまいます。この笑顔と仕草の一瞬を捉えられただけで、とても素敵な作品と言えます。背景の畑のシーンもいいですね。人物を入れずにこの畑のシーンだけでも、伸びやかで気持ちのいい風景として成立しています。この方が普段手入れされている畑なのでしょうね。きっとお野菜も美味しいだろうな、と想像できます。いい写真です。

準大賞

幻相

西田 晋太朗 さん(兵庫県)

撮影情報
撮影地
大阪府 大阪市 JR大阪駅
カメラ
キヤノン EOS 7D MarkII
レンズ
Canon EF-S 15~85mm F3.5-5.6 IS USM
絞り
5.6
シャッター速度
1/8
撮影感度 ISO~(フィルムの場合はフィルム感度)
3200
ご受賞者の声

この度は名誉ある賞に選出していただきましたこと、深く感謝申し上げます。通知を受け取った時、まさに青天(せいてん)霹靂(へきれき)とはこのこと、と知ることになりました。ソーシャルメディアはじめ、サイバーに(あふ)れ返った「いいね」の誘惑を断ち切り、自分自身が思うように、そして良い距離感を持って、今後も写真と向き合い続けます。また、今回の受賞が鉄道写真を興じる方々への近年醸成(じょうせい)されつつある印象を払拭(ふっしょく)する片鱗(へんりん)となることができるならば、この上ない喜びです。最後に、私の写真活動に理解を示してくれる家族、友人、そしてご指導いただいてきたフォトスクールの講師、スタッフの皆様へ改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

▼審査員講評川合 麻紀氏

都会の電車が絵本の中の可愛い電車みたいになっていますね。電車の流し撮りは綺麗に決まっていて、背景は流れながら、車体は止まっているため、窓から(のぞ)く車内の人々の様子を感じることができます。ふんわりと光の丸ぼけと色彩がプラスされているのは、 多重露光でしょうか。夜の撮影だと思いますが、暗い部分を(いろど)る光と色があることで、全体の可愛らしい雰囲気を作り出しています。電車をこのように仕上げようというイメージ力がないと作り出せない作品だと思います。 *多重露光とは、写真撮影における技術の一つで、1コマの中に複数の画像を重ね写し込むこと。

過去の開催風景