写真の中でシルエットによる表現はとても重要な役割を果たします。光に照らされてこそ物の表面は写真に写るのですが、人間の知覚は影による形であっても対象を〝人〟と認知できます。平面で再現される写真の世界ではむしろその傾向が強く、画面上で同じ大きさであればむしろシルエットのほうが印象が強まるようです。身体と顔の向きや仕草、複数の人物同士の関係性などもシルエットから想像できる人間の認識能力を信じて、臨機応変にシルエット力を作品づくりに駆使してみましょう。総合写真展 審査員板見 浩史先生
強い直線や曲線の中に人物を配する
周囲の情景を活かすシルエット描写
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- 鳥居と夕映えで夫婦の祈りを表現
- 奈良の檜原神社で撮影された作品。独特の鳥居越しに望む二上山が夕日でシルエットに浮かび、HDR*使用の効果もあるのでしょうか、絵のように美しく再現されています。人物はほぼシルエットに描写され若い夫婦の間にはベビーカーが見えて、タイトルどおりの状況を表現しています。鳥居周辺や夫婦の周囲の森はもう夕闇が迫っていますが、参道と遠い空は明るく描写され、まるで夫婦と赤ちゃんの明るい未来を象徴しているように思えます。*HDR=High Dynamic Renge(ハイダイナミックレンジ)の略。
通常に比べてより広い明るさの幅を表現できるアプリまたはカメラの機能。
シルエットの背景や周囲を活かす表現
シルエットで人物の情感を表現する
- 上達と入賞のポイント トップ
- 第1回
- 第2回
- 第3回
- 第4回
掲載した作品は、第26回総合写真展の入賞作品から、解説上の参考例として板見浩史先生に任意で選出していただいたものです。
作者の皆様には、この場を通じて厚く御礼申し上げます。