気象力―聞きなれない言葉ですね。言い換えれば季節や雲や霧や雪などの効果、つまり天空の力といった、特に風景写真においては大切な要素です。どんな有名な景勝地でも、過去に素晴らしい名作が生まれた場所でも、気象によってはただ綺麗に撮れただけのフツーの写真になってしまいがち。ドラマチックな風景に変えてくれる気象を期待するなら、よほどの強運か「悪天候も辞さず何度も出かけチャンスに巡り合う」ということに尽きるかも知れません。また多くの経験値を積んで、気象を予想できる勘と能力を高めるのもひとつの有力な方法と言えそうです。総合写真展 審査員板見 浩史先生
大空をドラマチックに変える雲を活かす
都市空間を引き立たせる気象現象
-
- ランドスケープを独自の視線で狙う
- もっともよく知られる都市のランドスケープ、新宿の東京都庁。モノクロームに変換して余分な色彩情報を減らしたことにより、古代の厳かな神殿のようなイメージに表現されました。手前で見上げる二人の若者もその印象を強めますし、何より雨上がりに輝く地面とHDR*設定によって強調された背後の空と雲の効果が神秘的な雰囲気を高めてくれました。有名な場所でも独自のアングルの発見と気象条件を活かすことにより、心に残る作品になることの好例と言えそうです。※HDR=High Dynamic Renge(ハイダイナミックレンジ)の略。
通常に比べてより広い明るさの幅を表現できるアプリまたはカメラの機能。
月と太陽が織りなす繊細な美を狙う
別世界を作り出す雪・霜のマジック
- 上達と入賞のポイント トップ
- 第1回
- 第2回
- 第3回
- 第4回
掲載した作品は、第26回総合写真展の入賞作品から、解説上の参考例として板見浩史先生に任意で選出していただいたものです。
作者の皆様には、この場を通じて厚く御礼申し上げます。