撮影と応募の前にぜひ覚えておきたい― 上位作品に見る上達と上位入賞のための表現ポイント

 そこに被写体があります。機材を選び、光を選び、構図を作り、明るさを考えてシャッターを切る。やっていることはみなさん同じことです。それでも作品には違いがでます。見る人に思いの伝わる写真があります。目が止まる写真があります。 写真を撮るとき、そして選ぶときに、ちょっと意識してみるといいことは何か。上位作品を見ながらいくつかのポイントをまとめてみました。

総合写真展 審査員 川合 麻紀先生



Point4 光を選ぶ

写真を撮るとき、どんな光を選ぶのか。
それだけで写真の印象が決まると言っても過言ではありません。
お天気の日ですと、順光はきれいな色になり、逆光はドラマティックになります。他にも、曇りのとき、天気でも日陰の場所、遮光(しゃこう)などいろいろな光があります。作品作りの上で、どんな光が望ましいのか、適しているのかを考えて撮影できるとイメージに近づけやすくなります。

浅川義廣さんの作品「令和元年 神の事始め」

 浅川さんの作品は、いいお天気で爽やかな色彩が印象的です。これは天気が良く、順光に近い光で撮影しているからこそ出る色です。順光方向は空がより青くなり、他の色彩も色鮮やかに出やすい条件です。

川並武彦さんの作品「収穫を終え」

  川並さんの作品は、逆光による影が面白い作品です。逆光だと花の色は鮮やかには出にくくなりますが、花を縁取る光ができたり、影が伸びたり、順光とは違ったドラマチックさが生まれます。

佐藤幸一さんの作品「ハロとミュージシャン」

 佐藤さんの作品は、太陽を背景にすることで、シルエットで形を見せています。カラーですがモノクロに近い色彩です。ドラマチックですね。

Point5 悪天候を味方につける

天気が悪いと、撮影する気持ちが落ちてしまうこともよくありますが、むしろ素晴らしいシーンと出会えるチャンスとも言えます。天候を生かした絵作りを考えてみると、今までにないものが作り出せるかもしれません。普段見慣れた普通の場所が特別な場所に早変わりします。その時にシャッターを押そうと思えるかどうかが分かれ目です。
どこか遠くへ出かけた時も、お天気なら素敵ですが、雲が立ち込めていたとしても、少し待てばもしかすると天気の変わり目のドラマティックなシーンに出会えるかもしれません。現場で天気の変化を待つ余裕が持てると、チャンスが増えます。

木﨑誠さんの作品「耐え凌ぐ」

 木﨑さんの作品は、黒っぽい背景の中の黒い鳥、降り注ぐ雪が少しブレながら、黒の部分を白く彩る感じは繊細であり自然の厳しさも感じられます。

下條英樹さんの作品「雪の日」

  下條さんの作品は動物園のキリンですね。こちらも背景は黒です。こうして雪や雨などを見せるには、背景は黒っぽい方が目立ちます。望遠レンズでの撮影のため、絞りを開けて撮ることでカメラに近いところに降る雪は丸くボケて(前ボケの状態)、ふんわりと写っています。

小野昭仁さんの作品「伝説の舞」

 小野さんの作品は、雪の中というだけでなくさらにそこに光が差しているという、なかなか体験できない気象条件が作品の神秘性をより際立たせています。

猿女貞信さんの作品「雪化粧」

 悪天候真っ只中でなくても、そのあとすぐに家を出ることができれば、猿女さんのような素敵なシーンに出会えるかもしれません。花が雪を抱いているような優しい作品です。

※掲載した作品は、第23回総合写真展の入賞作品から、解説上の参考例として川合麻紀先生に任意で選出していただいたものです。
 作者の皆様には、この場を通じて厚く御礼申し上げます。