写真上達のためにぜひ覚えておきたい コンテスト上位入賞に向けた7つのポイント

いまやカメラは急速に進化を遂げていますが、たとえどれだけAI化やロボット化が進んでも、それらを駆使して素晴らしい写真を撮るのは人間に残された最後の仕事です。いや“仕事”というよりは“楽しみ”と言い換えたほうが良いでしょう。
“良い写真”を撮り、その素晴らしさを享受できるのは人間の特権でもあります。そして人に感動を与える写真を撮るには、いくつかの基本要素やテクニックも大切。そのポイントを学んで、上達とコンテストの上位入賞に役立てましょう。

第22回 総合写真展 審査員 板見 浩史



はじめに

 みなさんの中には、素晴らしい写真は撮りたいけれど、別にコンテストで入選したりすることは望んでいない、という方もいることでしょう。確かにそうかもしれません。しかし、多くのコンテストの入選作品の中には素晴らしい写真がたくさんあるのです。しかもその作者は単に「入選したい」というだけでなく「人に褒められたり、感動を与える良い写真を撮りたい」という気持ちで励んでいる方々がほとんどなのです。僕は20年以上もコンテスト専門雑誌の編集長をしていて、たくさんの熱心な応募者や読者の方々と実際にお会いしてきたので、それがわかります。つまり上達することとコンテストで良い評価を得ることは同義語でもあるのです。

 ただ上達して素晴らしい写真を撮りたい、と一人であがいているだけでは何もなりません。たとえばこんな写真が撮りたい、というお手本があったほうが初心者のうちは上達が早まります。そのためにはコンテストや公募展に応募することが一番。自分の好きなタイプの写真を撮る作者やベテラン作家の作品を眺めるだけでも効果的です。そうした優れた作品を見ているうちに、どの写真にもある共通点があることに気が付くはずです。


…ざっとこんなところですが、いわゆる「優れた写真」には、このうちの一つ以上の要素が含まれています。具体的にいうと、コンテストや公募展の審査でも、こうしたポイントの加減が入落の差や上位か否かという違いになるといっても過言ではありません。もちろん審査員の個性や時代性などといった要素が加味されるケースもありますが、いずれにしても上記のポイントの多くをクリアしたものが高い評価を得ることがほとんどです。

それでは、実際に総合写真展の入賞作品を見ながら、7つのポイントを全4回に分けて解説していきましょう。

Point1 被写体発見力と感動力を磨く

写真を撮るということは、感動を求めるということ。カメラを携えてさまよえば世界は魅力に満ちたワンダーランド。とはいえ、多くの場合は「何を撮りに、何処へ」と計画を立てて訪れます。
そんな時、あまり計画や撮影目的にこだわり過ぎないほうが良いと思います。
現場には現場の風が吹いているもの。雨が降れば雨の情景に切り替え、日が暮れれば日暮れの情景と、「臨機応変」が写真撮影の心得です。
計画通りであってもそうでなくても、大切なのはそこで発見した一期一会の光景の面白さに感動できるか否か。
そのためには日頃から、愛用のカメラの操作やレンズの描写性を熟知しておき、状況が変わってもすぐに使いこなせるようにしておかなければなりませんね。

湯浅与志さんの作品 「来て良かったね~。」

 江ノ島のブルーモーメントを捉えた素敵な作品です。おそらくこの時間帯を狙ってこの場所に行かれたものと思われますが、天候にも恵まれて大成功した例ですね。特に良いのが人物のシルエットを添景に入れたことでドラマ性が加わったこと。作者の受けた感動がさらに大きなスケールで見る人に広がってきます。まるで語り合っているようなタワーと二人とのバランスも良く、光のラインもリズミカルで美しいです。遠くの夕焼けによって、画面に遥かな奥行きが感じられることもこの作品の魅力です。

横山勲さんの作品 「夕景」

 有名な三島の富士と大根干しの光景。よく撮影される場所ですが、この作品は実に堂々として、撮影時の感動がよく伝わってきます。出会いの一瞬をじっくりと丁寧にフレーミングしたことで季節的な風土感が細やかに伝わってきます。富士を飾る雲の輝きも清々しく、夕陽に染められた干し大根の情景も見飽きません。右隅に入れた一群のススキも秋から冬の季節感を高めていて、作者の発見力の細やかさを裏付けています。

亀谷慶英さんの作品 「名峰ワンドイ西峰」

 まさしく「写真は感動を求めていく行為」を実証するような作品です。立ち込めていた雲からつかのま姿を現した霊峰、という感じが感動を持って鋭く切り撮られています。頂上にわずかにかかった雲、右下の黒い山稜が、高くそびえ立つ峰との距離感や神々しさをさらに強調しました。苦労の末にこの光景に立ち会われたのでしょうが、気象が見方をして結果的に“発見感”を強調してくれました。

淺井勝久さんの作品 「SKE」

 街歩きの途中で見かけた光景を、地球のミニチュアのような洒落た写真に仕上げました。これこそ発見力と感動力の賜物。テレビ塔も青空もひょいとポケットに入れて持って帰れるという、写真ならではの楽しさを象徴しているようなオブジェです。周囲をシンプルに明るく描写したのでメルヘンチックな作品になりました。

※掲載した作品は、第21回総合写真展の入賞作品から、解説上の参考例として板見浩史先生に任意で選出していただいたものです。
 作者の皆様には、この場を通じて厚く御礼申し上げます。